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倉庫バイトで働いて 女ひとり暮らし考

ラストマイルを観た感想&考察|Amazon倉庫でバイトしてみた

投稿日:2025年9月8日 更新日:

ネタバレ注意
オチなどは書いてはいませんが、内容について突っ込んだことも書いております。
まっさらな気持ちで映画を観たい方は、先に映画を楽しんでからぜひごらんください。

この映画感想は、あくまでわたくしの独断と偏見による考察です。
あしからずご了承くださいませ。

2年ほど前の2023年の暮れ。

仕事を辞めることになり、とりあえずのつなぎにとAmazon倉庫で2ヶ月ほど短期バイトをしました。

その後の新しい職場で、倉庫バイトの話をすると、みなさん気になっていたのか、大変受けが良く、その後すっかり持ちネタ化しました。

そんなある日、職場でランチご一緒していた同僚の娘さんが、

「ラストマイル観た?うちの娘がハマっちゃって、また観に行くって言ってたよー」

テレビない生活のため、映画情報に疎く、映画『ラストマイル』が物流業界をベースにしたサスペンスで、ロケもAmazon倉庫内でやっているらしいことを、その時初めて知りました。

最近、日本のドラマも映画もあまり興味が持てずにいたので、どうせいつもと同じようなメンツの役者が出て来て、番宣やら販促やら盛り沢山でシラケるようなやつでは‥
なんてことを思ってしまい、その時はそーなんだーぐらいの反応で終りました。

AmazonPrimeに『ラストマイル』がきた

つい先日、AmazonPrime video に何か新作入ったかなと開いたところ、既視感のあるサムネイルが‥

あーこれ、友達が言ってた映画かあ‥

今はロードショウがすぐ配信されて、わざわざ映画館へ足を運びにいかずとも待っていれば家で観れるのは有難い事ですね。

進められた時は「わざわざ映画館で観るのはなあ‥」と思っていましたが、配信で観れるなら観たい。

そんな感じで、なんとなく観た感想です。

まだこれから観る予定の方、内容を知りたくないまっさらな状態で観たい!

と言う方は、ここからはネタバレになる可能性が高いので読まないでくださいませ。

まずは視聴後すぐの感想。

テレビドラマのキャスティングなどが絡むため、途中世界観に違和感が出るシーンなどもありました。
初回で観たあとの感想は、普通に楽しめた感じでした。
ブログに感想を書くため、再度観なおしすることにしましたところ、再度見直しからのほうが楽しめました。

友人の娘さんが「もう一度観たい」と言った気持ちもわからんでもない‥?

初回視聴後の感想は

わたくしはいい年で結構ひねくれておりますので、初回観た時はちょっと斜めから

「最近の日本の映画にしては楽しめたなー」

という感じでした。

改めて調べると、手がけた監督と脚本が両方、実力派の女性のようです。

なるほど、女性の私には、妙なお色気も入らず、観やすい流れでした。

世界中で配信するようになれば、今までの日本の映画やアニメの妙に男目線で展開するやり方では通用しなくなりますので、今後は女性監督や脚本家がもっと増えるかもしれません。

普通に、エンタメ感のあるサスペンスとしても楽しめました。

初回の視聴で、「アッ‥それだ‥」と思わせるセリフがありました。

そのセリフがあったことで、再度観なおして見ようと思うに至ったのでした。

ではでは、ザっと話の流れとキャスティングを見つつ、2回目視聴後の映画の考察などいたします。

映画の主な舞台とキャスティング

物語は、流通過程のポイントである倉庫と運営会社、運輸と運送会社、ユーザーである企業や個人のそれぞれの点が線に結ばれ、時間軸が並行線で流れていくように進みます。

◇外資系流通会社『デイリーファストジャパン(略称デリファス)』配送センター
物語のメイン舞台。
ブラックフライデー中で800人もの非正規雇用がいるなか、正社員は7人。
デリファスは管理職がコロコロ変わっている。

デイリーファストジャパン社員
・センター長 舟渡エレナ
 :配属されたばかりのセンター長
・チームマネージャー 梨本 孔(こう)岡田将生
 :入社2年目のチームマネージャー

◇羊急便
デイリーファストジャパンの提携運送会社
トラックの運転手さんの報酬は荷物1個150円
・関東局局長 八木龍平(やぎ りゅうへい)阿部サダヲ

◇佐野運送
羊急便の請負個人運送業者 
 ・委託ドライバー 佐野 昭(あきら)火野正平
 ・委託ドライバー 佐野 亘(わたる)宇野祥平
 :昭の息子。倒産したひのもと電気元社員
  ドラム式洗濯機の耐熱温度を高くして耐久性に優れていた商品だったがコスト高で他者競合に負け会社倒産。

・やっちゃん 昼飯10分、1日荷物200個運んでトップドライバーになったが過労死

◇宅配先のユーザー
メディカル系施設
起業
個人宅
ほか

2度目視聴してからの感想

少し前から、以前、倉庫バイトで働いたことを、そのうちブログに書こうと思っておりました。
今回の視聴にあたって
「映画は参考になるかもしれないな」
との思いもありました。

なので、始めは
「ちょっと膨張表現あるんじゃない?(笑)」
なんて、斜めな感じに観ていたのですが、途中で登場人物のあるセリフに、アッと思うところがありました。

「アメリカなら、日本よりコンプライアンスがしっかりしている。」

この言葉が刺さり、少し真面目に観始めたところ、映画の中の言葉が、観ているうちに刺さってくるようになりました。

Amazon倉庫で働いて

Amazon倉庫でバイトを始めたとき、ブラックだブラックだとネットで書かれているのをよく見かけました。

応募した時は、一体どうブラックなのだろうと、けっこうビビッていました。

しかし、繁忙期の短期バイトは時給が良く、私の契約した派遣会社では、1日10hでの契約で週に3日か4日を選べるというものでした。

1日10hですと、時給が1500円で日給15,000円、二日で3万、4日で6万、単純計算で3日頑張ったら家賃払ってお釣りがきます。

短期間ですぐお金が入り、速払いシステムなどを利用すれば、手数料はかかるものの、

「お金がピンチですぐに欲しい!」という時に、日雇いバイト的にすぐ収入を得ることができます。

転職のつなぎでやるにも、とても都合が良いのでした。

実際始めると、体力も必要ですし、ずっと歩きっぱなしだし、

「なるほど、こういうところがブラックか!」

と、思う程度には、キツかったことも確かにありました。

短期の契約が終了した時、

「ようやく終わった!晴れて解放された!」

と喜びでいっぱいでした。

だが、なんとなく

「もう少し居てもいいかもなあ‥」

と、毎日クタクタで働いていたのに、何故か、何故か?(笑)、後ろ髪惹かれるような感覚もあったのでした。

それについては、今後のブログでも考察したいと思います。

それぞれの立場からの言葉

ブログ記事を書くため、なぜ、あのセリフがそんなに刺さったのだろうかと、映画を再度観なおすことにしました。
改めて観なおすと、この映画、それぞれの立場から語るシーンが印象的に描かれています。

・デイリーファストジャパンセンター長 舟渡エレナ

「しばらくして、倉庫に配属になって、責任のある役職をもらった。うれしかった。
1年目、やりがいを感じた。2年目は順調、3年目、眠れなくなった。」

・デイリーファストジャパンチームマネージャー 梨本 孔

「ここに来る前は、日本の悪いところを煮詰めたような会社で働いてました。
比べたらここは天国です。
よくつまらなそうな顔だと言われますが、これでも楽しく仕事してるし、今の生活を維持できればそれで十分です。」

・羊急便関東局局長 八木龍平

「あんたはいつもそれだ。
脅せば人が動くと思ってる。」

(「社長にかけあったほうがよいでしょうかぁ。」
と、デリファスセンター長の舟渡エレナから更に言われ)

「そうしてくれ。俺はどうせ、もう終わりだ。
集配センターは、どこも機能マヒ。荷物の問い合わせは天井知らず。
取引先からのクレーム。
デリファスに依存してるおかげで、デリファスの条件をのまざるを得ない。
荷物は増えちゃって、ドライバーは減る一方だ
朝からひっきりなしだよ。頼むから人回してくれって。
まわしたくたって、この単価で誰がやる。

・請負運送業者 佐野運送委託ドライバー
 佐野 昭(あきら)・亘(わたる)親子の会話


「仕事ってな魂をこめてやるんだ。みんなまってんだよ。よろこんでくれんだ。
 昔の事考えてみろ。荷物が一人一人の家にきちっと届けられるなんて奇跡だぞ。
 俺たちゃ奇跡を起こしてんだ。やっちゃんがそう言ってたんだよ。
 俺たちが日本の物流しょってんだって。日本この国回してんだってよ。
 物流なくして国はなしと。」

「やっちゃん、やっちゃんってさ、やっちゃんは、死んだろ?
 弁当10分で食べて、車で寝て、1日200件配達して。
 しんだじゃん。
 月50万もらえてた頃は良かったかも知んないよ。
 それが、半分になって、それでも弁当10分でさ、身体壊して、しんじゃったじゃん。
 俺たちがまわしてるって、誰も親父のこと、大切にしてないよ。」

クライアント、中間業者、下請け業者のそれぞれの思いを吐露している印象深いシーンです。

並べてみると、
「誇りを持っている反面で、精神的・肉体的に追い詰められている感が上層部と下請けにあり、中間部はその間の調整にまた苦しむ」
といった、合理的に作られたはずのシステムありきの中で、生身の人間がシステムに合わせる生きづらさを物語っています。

システムによって合理化し、効率的に稼ぐことはできても、人間は生身ですし、いつも同じコンディションで対応することは難しいです。

サスペンスとして物語が進みつつ、別の社会的な視点を感じられます。

映画のタイトルはなぜ『ラストマイル』??

ところで、ずっと引っかかってたのですが、この映画のタイトルは、なぜ『ラストマイル』なのでしょうか?

映画の感想として、ブログ記事を書こうとしても、映画のタイトルが何度も思い出せないほど、内容とそぐわない気がしました。

「ラストマイル」という言葉じたい、映画の中で使われることがあまりなく、その言葉が出てくるシーンもありましたが、

「なんのためにこのシーン入れた?」みたいな後付け感があり、よくわかりませんでした。

逆に、印象に残った場面が、上記の「アッそれだ‥」のシーンでした。

アメリカなら、日本よりコンプライアンスがしっかりしている。だからここまで来た。
日本のデリファスは、彼が飛び降りたのを私のせいにした。都合が悪いことを隠しているに違いない。」

「彼はいつも言っていました。もっとやれるやらないとがんばらないとって。
だけど最後になったときこう言ったんです。ブラックフライデーが怖い‥

これがまさに、システムに組み込まれた生身のニンゲンの悲鳴であるのではないかと、自分は感じました。

システムに乗っかると言うことは、契約時に
「ここからここまでの仕事はいたします」
という約束があり、それを越えて働かせようすれば、契約違反となります。

ですが、日本では『サービス残業』なる言葉もあるように、

「そんなことは契約にないよ」

が言えず、ズルズルと職人気質と言いますか、奴隷根性と言いますか、断りにくい社会性と言いますか‥

船渡エレナの言う

「我ながら、無駄に日本人でイヤになる。ムダに真面目で、ムダに勤勉」

という言葉に象徴され、平常の状態でいっぱいいっぱいだった生身のニンゲンが、ムダに真面目で勤勉な日本人気質から、ブラックフライデーというイベントで更に摩耗して行く様子が描かれて行きます。

初回の視聴で、一番印象に残ったシーンとセリフなので

映画のタイトルは『ラストマイル』ではなく『ブラックフライデー』のほうがハマると思うけどなあ‥

とまで思ってから、Amazonバイトの募集に応募した頃のをまた思い出しました。

Amazonはどんなふうにブラックなの‥?と検索した結果‥

「Amazonでバイト」
の募集を見て、お給料は良さそうだけど、つい二の足を踏んでしまう理由に
「Amazonはブラック」
との、世間的なイメージがあります。

映画に出てきた運送請負業者さんは、一箱150円で量をこなして稼いで体調を壊したり、人手不足でキャパオーバーになったり、ニュースでも業務改善を求める話題が多かった時期がありました。
大抵の人は「どうなの?」と気になります。

わたくしも、その後の職場でAmazon倉庫で働いたと言うと、ほとんどの人が
「どうだった?自分もやってみたいと思ってたけど‥」
と聞いてきました。

私も「どうなの?」と思った一人でしたし、バイトには応募したものの、不安でつい、「Amazon ブラック」と、検索してみたのでした。

ですが、出てくるのは「ブラックフライデー」ばかり‥

さあ買いましょう!欲しいものを見つけましょう!のオンパレード。

そういえば今まで、「ブラック」がつく言葉には「ブラックリスト」「ブラック企業」など、ネガティブな意味合いを持つ言葉が多かった。

なぜ、わざわざ安売りセールに「ブラック」をつけたのか‥

Googleに代表される「検索エンジン」は、検索されることが多い言葉が上位に上がります。

広告料を払えば、トップに公式サイトを上げることはできますが、ネガティブワードで検索された記事などが並ぶと、企業イメージに響きます。

大企業で注目度も高い会社のため、「Amazon ブラック」で検索する人が多くなればなるほど、ネガティブワードの入った不名誉な記事ばかりが上位に並び、企業イメージを損ねてしまうでしょう。

「ブラックフライデー」というネーミングは、「ブラック企業」の検索を下に下にと下げて見えにくくするためでは‥??

なんてこと思いました。

企業側からしてみれば、自社のブラックイメージがつくのは避けたいはずですし、今回の映画タイトルが、仮に『ブラックフライデー』だとしたら‥

(あくまで仮にですよ!仮に!)

せっかくブラック企業の検索結果が消えたところへ、ブラックフライデーがまたネガティブワードとして反映されてしまう!?

そうしたことを恐れて、というか、映画の制作側が忖度して、あえてドンピシャなタイトルをわかりにくいとってつけたようなタイトルに変更したんじゃない?

なんてことを思って見たり‥

まあ、仮に映画のタイトルを『ブラックフライデー』にしたところで

「映画を検索したくても本当のブラックフライデーのGoogle広告に埋もれて映画の宣伝できない」

というのが一番、現実的で濃厚な理由かもしれませんね。

本来のマーケットのほうがよっぽど強いですし‥

おわりに

しかし、Amazonという会社、『仮面ライダーアマゾンズ』の時もそうでしたが「アマゾン」というライダーの名前が入っているということからPrimevideoでオリジナル配信していたことも思い出されます。

『アマゾンズ』も、確かR13だかR15だかの物騒な際どいシーンがあり、あれを企業名と掛け合わせて配信させるのはどうなんか‥
と思ったものでした。

世界的な大企業から見れば、たかが日本のエンタメでのネガティブは屁でもないということでしょうか。

話題性から見れば結果的に印象は悪くないですし、損して得取れ精神なのでしょうか。

合理性で稼ぐところは、日本の会社とは違うなーと思ってしまいます。

そして、アマゾンズも脚本が女性でした。

女性起用を公平にしているイメージもあり、やはり外資だなーと感じます。

何だかんだ文句がありながらも、日本よりも良いと思われてしまうのは、映画どおりのコンプライアンス遵守と公平性なのでしょうね‥

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