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キナ子さんのこと

キナ子さん追悼|お誕生日に

投稿日:

去る10月10日
うちで生まれて21年一緒に暮らしてきたキナ子さんが永眠いたしました。
看取りができて、ホッとした反面、過ぎ去った月日を懐かしく思い起こし、少し寂しい秋になりました。

 


今日はキナ子さんの誕生日なので、追悼の意をこめてブログに記します。

長女キナ子さんの生まれた日

キナ子さんの生まれた日は、2000年のハロウィンの夜にさしかかる頃でした。
前日は漫画の原稿の締め切りで、担当さんが原稿を取りに来てくれることに。

いつもだったら、駅前のお店などで次回の打ち合わせなど軽くしつつ、原稿をお渡しするような感じでした。
母クロ子さんがずっと落ち着きがなく大きなお腹でウロウロしていて、もしや今日生まれるかもしれないと担当の方に言ったところ、うちまで来てくれることになりました。
知らない人がいると落ち着かないだろうと、台所で原稿確認して、担当さんはソーッと帰って行きました。

この担当さん、後に、キナ子さんの兄弟のゴマさんの里親さんになります。
ゴマさんは後に命名されたのですが、ゴマきなこ兄妹でなんだか揃っていました。

秋も深まりを見せる頃でした。
21年前の当時は、まだハロウィンなんて流行ってもおらず、夜には冷え込み始めて、秋だなあと思わせるような静かな夜になりました。

一日落ち着きなくウロウロしていたクロ子さんは、編集さんが来る前にファックス台の下に入り込んでいました。
編集さんが帰る頃、陣痛が始まっていて、ファックス台の下から出てきて、私の目の前でいきみ始めたのをよく覚えています。

当時書いていた日記には、その日のことが興奮気味に記録されていました。

2000年10月31日の日記

日記を読むと、自分、この頃けっこう充実した生活をしていたのだなーと思います。
漫画で連載の仕事も増え、精神的にも安定していたようです。

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2000年10月31日(火)はれ
とうとうクロコの子供が生まれた!!いやービックリした!!今日も朝からのんびりしており、原稿も終わって、次は『オフレコ』のネームもひかえているが、そう急ぐものではなしと、のんびりかまえていつものように午前中はドラマを観たりしており、クロコは好物のカツオの缶詰をたいして食べずに残していたので、今日あたりなのかなーとも思ったが、最近そんな事ばっかり言っていたので、気楽にかまえとったんだ。昼すぎ頃、今日は生協が来たので、届いたインスタントラーメンなど軽く食べてから、それではネームでもやっとくかと、流し描きして、丁度最後のコマを描き終えたところでNさん(※当時の本ゆ担当さん)から電話が来て、何とタイミングが良いのだろうと喜んで喋っていたところ、クロコが自分で押入れをこじ開けて中に入っていったので、電話でも、今日来るのかとか言っていたが、切ってからは大人しくなったので、やはり違うようだとまだ思っていた。

電話はカットの仕事の依頼で、カレンダーに使うカットを1ヶ急ぎであげる事になり、ネームも描きなおしする事になったので、ちょっと忙しくなってきたなと再びネーム直しを始めたら、こんどは3時すぎにIさん(※当時のパチスロ漫画の担当さん)から電話がきて、これから原稿取りに見えるという。もしやとも思ったので、クロコがどうも産気づいているようだと言ったところ、私が家を離れにくいのを察して、うちまで来てくださる事になったので、それでは少し片づけておかねばと、トイレと床やクロコのトイレも掃除して、食器も洗ってとパタパタ動き始めたところ、クロコの奴が大騒ぎしてFAX台の下の、普段は古新聞が入っているが、たまたま空いていてビニール袋なんかしか入ってなかったスペースをかきまくってニャーニャー騒ぎ出し、その中に入りこんだまま出て来なくなってしまった。

呼ぶとふりかえってゴロゴロ言ってるが、出てはこないので、これは本当にいよいよだとようやく認識した。

Iさんはバスでやってきて、着いたところで電話をくれて、バス停までむかえに行こうと、クロコに「ちょっと行ってくるね」と声をかけたら、こっちの目を見て「ヒェ~‥」となさけない声を出しており、バス停まで行って「とうとう産気づいた」とIさんに報告したところ、Iさんは気を遣って台所でコソコソ話しながら原稿を渡し、コーヒーだけ飲んで帰って行った。

帰りも送っていったので、道中やっと普通に喋ったりできたが、せっかく来て頂いたのに台所での応対しかできず申し訳ない。お土産にマロニエのケーキや高幡ロールやクロコフードなどまで買ってきて頂いてしまった。

そんで、Iさんが帰る頃、FAX台の中をのぞいたら、暗くて中がよく見えなかったが、クロコが下腹の方へかがみ、ゴソゴソとやっており、てっきり生まれてきてるのではと勘違いしてしまった私だが、本当に大きなまちがいであった。

以前飼っていたミーが簡単そうに子供を生んでいたのを見てたのでそう思ったんだが、大変だったのはIさんを見送って家に戻ってきてからだった。

ほんとに生まれてるんかいなと、お客様も帰られたので、FAX台の中の袋やらがゴチャゴチャしているのをとりのぞいてクロコの姿をよく見えるようにしたところ、子供なんぞおらず、まだであったかと思ったが、クロコがゴロゴロ言いながらもこっちを見つめてイキみだしており、何度もイキんではいるが狭いFAX台の中でちぢこまっての事だからラチがあかず、そのあと何度かイキんだのち、とうとう立ちあがってFAX台から出てきて、本格的にイキみだし、ホッペットの上まできてドダァッと横になってイキみつづけていたところ、尻のほうにとうとう袋が見え出し、子供の鼻先が出てきて、頑張れとはげましながら対処法など読んで、さらにイキむクロコに声をかけ続けたところ、その後6時27分に第一子誕生。柄はクロコと同じかと思えば、クロコの黒い部分がグレーの島が入っていて、顔に少し茶も入ったチビっ子だった。

こいつのヘソの緒だけ私が切ったのだが、クロコも最初どうしていいかわからず、ヘソの緒が離れないので子供ひきずってニャーニャー言うのであわてたよ。ホッペットカバーはもう血まみれだし。

1ヶめが出てきて、15分か20分ばかりした頃、2ヶめが逆子で出てきた。姉からのFAXが役にたった。逆子時の対処法も載っていたので、逆子だ!と思った瞬間に、出てきた足をおさえもって、クロコのフンばりにあわせてゆっくり出るのを手伝ったところ、すんなりぬけて、胎盤と一緒に黄色っぽい液もドロドロ―ッと出てきて、ホッペットはひどい有様だ。

そして第二子は予想していたミケだったので大喜び!!本当に生まれた!

クロコは胎盤も全部食べ、1ヶめが出てきたあとは割と慣れたふうだった。

が、2匹出てきたら、いつものクロコのタオル席にトコトコ歩いていって、ドタリと落ち着いてしまったので、さらにこれからそこで生むのかと思えば、乳を探してる子供をナメはじめて、すっかりのんびりかまえている。

意外な事に子猫は2ヶで打ち止めだったらしい。これほど少ないのは初めて見た。たった2匹であの腹を占領していたのか。

なぜか逆子で後から出てきた三毛っちょのほうがやや大きく、先に生まれてきた方を押しやって乳を吸ったりしている。先に出てきた方は、押しやられたまま、とんでもない方向に勝手に行って「ピィ~ピィ~」とか言っている。

ピーピーというのは少し違うな。キゥ~~キウゥ~~という感じの声だ。

そして、腹の中でウモウモ動いていたのは、やたらとのさばる三毛っちょの方ではないかと思われる。私はその後落ちついてから、色んなとこに生まれたと電話かけまくり、メシも満足に食ってないでネコばっかり見てすごしてた。

これから先、仕事に障りが出そうでコワイ。

でもクロコは良くやったよ。生まれた子供の数も、丁度里親予約件数と一緒だったし。手離すのは惜しくなるだろうが。

こんなカワイイおチビっちょが出てきて、やっぱり生ませて良かったなァ。

ヒニン手術もこの先させたくなくなってくるよ。

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日記の最後にとんでもないこと書いてますが(笑)自分が子供生んでないから、クロコさんが代わりに生んでくれたような気持だった気がします。
その後クロコさんは桃ローさんらを生んでから避妊手術しました。

2000年11月1日の日記

キナ子さんの生まれた翌日の日記です。

当時の私の書く文章は、いつまでも「。」がつかず、延々続くのが特徴でした。

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2000年11月1日(水)くもりあめ昨晩は興奮してしまい、クロコ達から少し離れた場所に床を敷いて寝たのは良かったが、なかなか眠れず、ウトウトしても、クロコが動く度にチビがチーチーと鳴くので起こされて、明け方になるころだったか、クロコだけ人の布団の中に入ってきて、子供がチーチーピャーピャー言ってるので追い出そうとしたが、中で踏んばって出て行こうともせず、布団の中から子供を呼んでる始末で、そのうち子供が気になって出て行くだろうと思い、寝なおしてから再びふと目を覚ますと、あいかわらず布団の中にクロコの気配があるので、見ると、親子で人の布団に入っていて驚いたの何の!!つぶしちゃったらどうすんのだ!!

だが、クロコもきのうの疲れもあるらしく、出産祝いにと、Iさんから昨日いただいたモンプチの鯛缶をやったら、子供を気にしながらガツガツ食べ、あとは寝てばかりで、たまに出血しているようで身体キツイらしいと思い、私の使っていた中がけ布団を四つ折りにしてホッペットの上にベッドを作ってやったところ、その後はそこに落ち着くようになった。

親子で気持ちよさそうに寝ている。私はそれを横目に、午前中のうちにドラマを観ながら、昨日Nさんから依頼のあったカットを描いて色をつけ、明日は大雨になるというので、今日の小雨のうちに送ってしまおうと思い、午後から買物がてら郵便局へ行って発送し、切れていたカメラの電池も買ってきたので、帰ってきてからチビ共の写真も撮ったりしてた。

Nさんから電話があって、「きのうはあれからいくつ生まれたんですか?」と気にしてくれていた。そんで長電話してしまった。

夕方には姉も、あれからまた生まれたかと同じような電話がかかってきた。チビ共は、おなかに居る間が長かったせいか、生まれたてにしては大きめのようだと思う。クロコがガツガツ食って食費4倍にした割には2匹だったので、普通よか栄養も多めにとって成長したにちがいない。

お乳を吸うのもずいぶんうまくなってチパチパやっている。

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起きたらこうなっていたので、驚いたあとすぐ写真を撮りました(笑)

 

キナ子さんは生まれたばかりの頃はカンが強くて、持ち上げるとパニックになり癇癪をおこしてました。
クロ子さんはヤンママでしたので、途中で子育てを放棄してよく遊びに出かけていました。

ゴマさんが新しいおうちへ行ってしまい、子供が足りないと慌てたクロコさんは、脱走してキナ子さんの弟らをまた作ってきました。

その2ヶ月後に生まれたのが桃ローさんらです。

ネコは2ヶ月ほどで子供を生むのですが、少し間があいたため、クロコさんが1999年、キナ子さんが2000年、桃ローさんが2001年と、ミレニアムまたぎ親子になりました。

少し長くなりましたが、21年前、キナ子さんが生まれた日はこんな感じでした。

私の部屋もずいぶんとモノがなくスッキリしていたものです‥

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